
THCP(テトラヒドロカンナビフォロール)は大麻に含まれる天然由来のカンナビノイドで、大麻の精神作用の大部分を担う化合物であるTHCの類似物質です。THCPはイタリアの研究チームによって2019年後半に(質量分析と液体クロマトグラフィー分析により)偶然発見されました。また、それと同時にCBDP(Cannabidiphorol/カンナビジフォロール)も発見及び単離されました。これはTHCPと同じ数の炭化水素鎖を持つカンナビノイドです。
接尾辞の”-phorol”は、これら2つの新しい植物性カンナビノイドのレゾルシニル部分を構成する5-ヘプチル-ベンゼン-1,3-ジオールの一般名”sphaerophorol”に由来しています。
THCPは、THCと密接に関係したカンナビノイドで、大麻の中に0.1%未満の濃度でHC
含まれています。この様な大麻に少量しか含まれないカンナビノイドをマイナーカンナビノイド若しくはレアカンナビノイドと言います。
ちなみに市場に出回るTHCPは、基本的にCBDから合成されます。
◆THCPの効果
THCPは、CB1及びCB2アゴニストの強力な植物性カンナビノイドです。
THCPはTHCと同様にエンドカンナビノイド系と相互作用しますが、カンナビノイド受容体への親和性がΔ9THCと比較してはるかに高く、THCの最大33倍の頻度でCB1受容体に結合することが判明しています。(THCPはTHCの33倍強力と言われますが、実際に33倍強力なわけではありません)
THCPは、アルキル側鎖を構成する炭素原子の列がΔ9-THCよりもはるかに長くなっています(Δ9-THCが炭素数5に対してTHCPは炭素数7)。このため、カンナビノイドは体中の受容体にしっかりと結びつくことができます。
THCPは医療への応用の可能性は有望であると言われています。THCPは癌の治療のために高レベルのTHCを必要とする患者に対して、より実質的な鎮痛・鎮静効果をもたらす可能性があります。
◆THCPの副作用
前述した様に、THCPは、THCの33倍CB1受容体への結合力を持つと言われています。その事から、少量でもTHCよりも高い精神作用のリスクがあることが懸念されます。THCPを過剰に摂取すると、THCを摂取した時以上の副作用が生じる可能性があります。
THCPはTHCに似ているため、両者の副作用は似ていると考えられます。一般的なTHCの副作用は、パラノイア、自意識過剰、眠気、疲労感、口の渇き、目の充血、嘔吐などがあります。
◆THCPは安全か?
THCPは新しく発見された事から、まだ十分な研究が進んでおらず、それが人間にとって安全かどうかはまだ不明です。
◆THCPは合法か?
●アメリカでは?
ヘンプ由来であれば合法です。正確にはTHCPは、Δ8-THCなどと同様に法的にはグレーゾーンだと言えます。THCPは連邦規制物質法(CSA)では規制物質としては挙げられてはいませんが、それはTHCの類似物質と言えるのが理由です。THCのすべてのアナログは法律で削除されない限り、デフォルトで連邦アナログ法(FAA)の下で禁止されています。しかし、THCPはヘンプ中に自然に存在し、さらにヘンプから抽出されたCBDから誘導される事から、農業改善法の下で保護されていると多くの人が主張しています。
●日本では?
THCPはHHCと同時に令和4年3月17日に指定薬物に指定されました。
◆まとめ
◉THCP(テトラヒドロカンナビフォロール)は自然の麻にも微量に含まれるカンナビノイド
◉Δ9THCの33倍程度の強さを持ち、作用時間も比較的長いと言われる
◉Δ9THCと同様に医療的な効能もあると言われている
◉令和4年3月17日から指定薬物に