2022年に入ってから、合法的な麻由来のカンナビノイドが続々と市場に出てきています。
今回ご紹介するTHC-H(tetrahydrocannabihexol/テトラヒドロカンナビヘキソール)もそのうちの一つです。
THC-Hは、2019年にTHC-P(テトラヒドロカンナビホロル)を発見したイタリアの大麻研究者の同じチームによって2020年に麻から発見されました。THCHは自然に麻にも微量に存在するカンナビノイドですが、市場に出回る者は基本的に合成されたものになります。この様な麻に微量しか存在しないカンナビノイドを、マイナーカンナビノイド若しくはレアカンナビノイドと言います。
THCHはΔ9THCのヘキシル/ホモログです。また、THC-Hは THC-P の次に長い側鎖を持っており、 THC-P の次に強いカンナビノイドと言われています。THC-PはΔ9-THCの33倍強いと言われていますが、THC-HはΔ9THCの10~15倍程度の強さを持ち、作用時間も比較的長いとのことです。
◆THCHの効果
THC-Hは他のカンナビノイドと同様に体内のエンドカンナビノイドシステム(ECS)に働きかけ、個々のカンナビノイド受容体に結合し独自の効果を発揮します。
THC-Hはまだ十分な研究が進んでおらず、正確な情報はまだほとんどありませんが、消費者のレビューレベルで言えば、THCと同様に、陶酔作用に加えて痛みや睡眠不眠、不安への効果などが望める様です。
◆THCHは薬物検査に引っかかるのか?
結論から言えば、大麻の陽性反応が出る可能性は非常に高いと言えます。 なぜなら、すべてのTHCベースのカンナビノイドは、THC-COOHと呼ばれる酵素によって代謝され、標準的な薬物検査では尿からその物質が検出されれば陽性となってしまうからです。
THCは体内に摂取された後に代謝され、THC代謝物 (THC-COOH-glu)として尿中に排泄されます。THC使用の立証には、THC代謝物のTHC-COOHが定量されます。一般的にTHC摂取後1週間程度、検査可能な量のTHC代謝物が尿中に排泄されますが、常習者においては3ヶ月を 超えてもそれが尿中から検出される場合があります。
その事から、人によってはTHC-Hやその他のカンナビノイドをする際は注意が必要です。また、警察による取調べなどでそれを指摘された場合はその事をしっかりと説明しましょう。
◆THCHは安全か?
THC-Hは大麻やTHCと同様に精神活性を持ち、めまい、口の渇き、無気力などの副作用が現れる可能性があるので、それを踏まえた上で使用しましょう。また、THC-Hは研究が不十分なため、使用する際には健康的な注意を払う必要があります。
※THCHはΔ9-THCよりも強力であると言われている事から、大麻経験者でも注意が必要です。
◆THCHは合法か?
令和5年7月25日に厚生労働省の『官報』にてΔ8,9THCH(tetrahydrocannabihexol/テトラヒドロカンナビヘキソール)を指定薬物に指定する省令が交付されました。この省令は、令和5年7月25日から数えて10日後の令和5年8月4日に施行されます。
・指定薬物とは
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律では中枢神経系の興奮若しくは抑制又は幻覚の作用(当該作用の維持又は強化の作用を含む。)を有する蓋然性が高く、かつ、人の身体に使用された場合に保健衛生上の危害が発生するおそれがある物を指定薬物として定義し、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物及び同法第76条の4に規定する医療等の用途を定める省令(平成19年厚生労働省令第14号)で物質名を定めています。
・指定薬物を所持・販売していた場合
指定薬物及びこれを含有する物は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律において、疾病の診断、治療又は予防の用途及び人の身体に対する危害の発生を伴うおそれがない用途以外の用途に供するための製造、輸入、販売、授与、所持、購入又は販売若しくは授与の目的での貯蔵、若しくは陳列は禁止されており、これらについては、同法に基づき3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金、又はこれを併科(業として行った場合は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金、又はこれを併科)すると規定されています。
◆まとめ
◉THCH(テトラヒドロカンナビヘキソール)は自然の麻にも微量に含まれるカンナビノイド
◉Δ9THCの10~15倍程度の強さを持ち、作用時間も比較的長いと言われる
◉Δ9THCと同様に医療的な効能もあると言われている
◉令和5年8月4日から指定薬物に