脱法ハーブとは?

脱法ハーブ(若しくは合法ハーブ)とは、合成カンナビノイドなどを人工的に添加したハーブの事を言います。代表的な製品にはK2(ケーツー)やSPICE(スパイス)などがありますが、その他にも様々な商品が存在します。

◆成分

脱法ハーブに添加された合成カンナビノイドにはCP-47、497、JWH-018、HU-210などがあります。また、合成カンナビノイドの他にも、サルビノリンAや覚せい剤に構造が似ているカチノン系の化学物質などが配合されているものもあります。

◆いたちごっこ

脱法ハーブは欧州では2004年頃から流通し始め、日本では2010年から流通が増加しました。

第一世代~第三世代と呼ばれる時期に販売されていたものは比較的安全でしたが、国がそれらの物質を規制する度に、化学構造を一部変えた物質が流通し始めました。それを俗に『いたちごっこ』と言います。また、それによって第四世代〜第五世代と呼ばれる時期には危険性の高い粗悪品が横行し、事件や事故が多発しました。無闇に物質を規制すると、より危険な物質が市場に流れる傾向があります。

◆効果

初期に流通した合成カンナビノイドの中には、大麻に含有される精神活性物質であるTHCと似た比較的安全性の高い効果(多幸感など)を持つものが多く存在します。しかし、規制が進むとTHCとはかけ離れた危険な商品が流通しました。

◆副作用

合成カンナビノイドはTHCよりもカンナビノイド受容体に結合しやすいため、過剰摂取しやすい可能性があります。過剰摂取した場合は頻脈、興奮、嘔吐、錯乱、悪心、幻覚・妄想、高血圧、目眩、胸痛などを引き起こす場合があります。

また、合成カンナビノイド以外の物質を含む脱法ハーブはその他にも様々な副作用を引き起こし、事件や事故が多発しました。

◆背景

大麻は『麻薬に関する単一条約(Single Convention on Narcotic Drugs)』という国際条約の第28条により規制されており、世界の殆どの国では各国の法律に基づき禁止されています。また、大麻に含まれる化合物であるTHCも大麻と同様に世界の殆どの国で禁止されています。

一方で、医療の面ではTHCの効能が注目されており、日々新たな合成カンナビノイドが医療を目的として生成されています。脱法ハーブを含む脱法ドラッグと呼ばれるものは、基本的に正統な製薬開発の過程で生成されたものです。

接頭辞がCPの物質(CP-47など)はファイザー製薬、HUのもの(HU-210など)はヘブライ大学、JWHのもの(JWH-018など)は、クレムゾン大学のジョン・W・ハフマンが開発したものです。

◆日本での流通

日本でハーブを店頭やインターネットで販売している業者の数は、2012年3月末で389と厚生労働省が発表しています。神奈川県や愛知県、宮城県、岐阜県では脱法ハーブの自動販売機も確認されています。愛知県では、警察が自販機を押収しましたが、これはハーブがタバコの形状で陳列されていたことによる薬事法の違反が原因です。

◆指定薬物制度

脱法ハーブは医薬品として承認されていません。接種を目的として販売した場合、薬事法が適用され、無承認無許可医薬品として取り締まりがなされます。しかし、脱法ハーブの販売者は人体適用を標榜していないため、医薬品としての相当性を立証することが困難です。また、依存性などの有害性が立証されておらず、麻薬及び向精神薬規制対象にもなりません。

日本で合成カンナビノイドの検出が報告されたのは2009年であり、順次指定薬物に指定されています。2009年7月16日には、乾燥植物からカンナビシクロヘキサノール、JWH-018を検出、2011年5月30日には、サルビノリンA、JWH-018、JWH-073、JWH-250、JWH-015、JWH-081、JWH-122、JWH-200を検出しています。

合成カンナビノイドに分類されていないサルビノリンAは、2007年(平成19年)4月1日に指定薬物に指定されている。JWH-018とカンナビシクロヘキサノールは2012年7月1日より麻薬に指定されています。

◆知事指定薬物

薬事法による指定薬物とは別に、一部の都道府県(東京都、大阪府、鳥取県など)では、薬物乱用防止条例による知事指定薬物があります。乱用の恐れのある薬物に対して、知事指定薬物に指定し、学術研究、試験調査などの正当な目的で行う場合を除き、製造、栽培、販売、授与、広告、使用、使用目的の所持、多数の人が集まって知事指定薬物を使用することを知っての場所の提供やあっせんを禁止し、刑事罰を規定しています。

◆包括指定制度

2013年2月20日、厚生労働省は「合成カンナビノイド類」を指定薬物として包括指定(772物質)する省令を公布し、2013年3月22日に施行されました。

アメリカでは、1986年に制定された連邦類似体法が、化学構造に若干の変更を加えた物質に規制をかけています。

しかし、類似物質を含めた包括規制を行っても、化学式に改変を加えた合法な新物質を使った脱法ハーブが販売されるようになり、包括規制によっても規制出来ない事実が明るみに出てきています。

また、世界中で大麻の医療用途研究に合成カンナビノイドを使った実験がなされているため、無闇な包括規制は将来の医薬品の研究開発に支障が出る可能性があることも指摘されています。それに加えて、薬理学者がこうした化合物に対して医学的な再評価をし始めています。

◆まとめ

合成カンナビノイドなどを人工的に添加したハーブ

有名な商品にSPICEやK2がある

欧州では2004年頃から流通し始め、日本では2010年から流通が増加

物質を規制する度に、化学構造を一部変えた物質が流通(いたちごっこ)

安全な物質を規制することで危険な物質が流通し、事件や事故が多発

包括指定制度により772物質を規制したが、新たな物質が誕生する