大麻にはサティバとインディカという種別があり、各々特徴があります。
◆サティバ種の特徴

⚫︎背丈
サティバ種のカンナビスは1.5m~2mとインディカ種と比較して背が高く成長します。
⚫︎葉の形
葉は細長い狭葉系品種(NLD)です。なぜなら湿度の高い熱帯気候ではカビの繁殖を防ぐ必要があり、風通しが良い作りである必要があるからです。
⚫︎生育期間
サティバ種はインディカ種に比べて生育に時間がかかり、花の収穫量は少なくなります。その事から、グロワーにとって、サティバ種はインディカ種よりも生産効率の悪い種であると言えます。
⚫︎THCとCBD
サティバ種はCBD濃度が高くTHC含有量が低いことが多く、CBDとTHCの比率が1:1に近いため、よりバランスの取れた体験が得られます。また、CBDは、THCが誘発する不安やパラノイアを緩和することができます。
⚫︎テルペン
柑橘類に多く含まれるリモネンは、サティバ種に多く含まれるテルペンです。気分を高揚させる作用があり、サティバ種がもたらすエネルギーやクリエイティビティに関与している可能性があります。
また、ピネンには松のような香りがあり、インディカ種とサティバ種の両方に含まれます。ピネンには抗炎症作用があり、集中力を高めると考えられています。
⚫︎効能
ストレスの緩和、疲労の軽減、うつ病の治療、活力を与える、集中力を高める
⚫︎使用するタイミング
サティバ種は日中に使用されることが多いです。
⚫︎歴史
1753年、スウェーデンの植物学者カール・リンネが、著書『Species Plantarum』の中で、精神に作用する大麻をカンナビス・サティバと命名しました。
⚫︎原産国
南アメリカや東南アジア、アフリカなどの気候が穏やかな赤道直下の地域
【有名なサティバ品種】
サワーディーゼル、ジャックヘラー、ダーバンポイズン、グリーンクラック、ストロベリーコフ、アムネシアヘイズ、スーパーレモンヘイズ、パープルヘイズ、マウイワウイ、アカプルコゴールドetc..
◆インディカ種の特徴

⚫︎背丈
背は1m前後で、形はずんぐりしています。
⚫︎葉の形
サティバ種とは対照的に葉の幅が広い広葉系品種(BLD)のため、日陰が確保されるだけでなく、同時に多くの太陽エネルギーを吸収することができます。長い乾燥期を乗り切るために花は密生していますが、湿気が多いとカビが生えやすくなってしまいます。
⚫︎発育期間
インディカ種はサティバ種に比べて生育期間が短く、花の収穫量は多くなります。その事から、グロワーにとって、インディカ種はサティバ種よりも効率良く生産可能な種であると言えます。
⚫︎THCとCBD
インディカ種は通常、精神活性化合物であるTHCの濃度が高く、CBDの濃度が低いとされています。CBD濃度が高いことが、インディカ種によく見られるリラックス効果や鎮静効果の一因となっている可能性があります。
⚫︎テルペン
インディカ種に多く含まれるミルセンは、リラックス作用と鎮静作用があることで知られています。
また、ピネンには松のような香りがあり、インディカ種とサティバ種の両方に含まれます。ピネンには抗炎症作用があり、集中力を高めると考えられています。
⚫︎効能
リラックス、鎮痛、不安の軽減、睡眠の質を高める、食欲増進、吐き気の緩和
⚫︎歴史
1785年にフランスの生物学者ジャン=バティスト・ラマルクが、インドの大麻草の物理的特徴を観察しながら、カンナビス・インディカと名付けました。
⚫︎原産国
インドやパキスタン、アフガニスタン、中東の山岳地帯などの厳しい環境
【有名なインディカ品種】
ノーザンライツ、ブッバクッシュ、グレープエイプ、ブルーチーズ、コッシャークッシュ、G13、ヒンドゥークッシュ、グランダディーパープル、プラチナムOG、アフガニ、オバマクッシュetc..
◆ハイブリッド種の特徴

ハイブリッド種は、名前の通りサティバとインディカの雑種であり、サティバとインディカ両方の効能を得ることが可能とされています。また、ハイブリッドの中でもサティバ優勢とインディカ優勢に区分することができます。
とはいえ、現在サティバやインディカとされている品種も実際は殆ど全てがハイブリッドとも言われています。なぜなら、それらは効率を良くするために様々な品種を交配して作られているからです。
【有名なハイブリッド品種】
ウェディングケーキ、ランツ、ブルードリーム、OGクッシュ、ガールスカウトクッキー、パイナップルエクスプレス、ホワイトウィドウ、チェリーパイ、ジェラート、AK-47、カリファクッシュetc..
◆ルデラリス種の特徴

カンナビスの種はサティバ・インディカ・ハイブリッドだけではありません。あまり知られてはいませんが、ルデラリスという種も存在します。
1930年、ロシアの植物学者ドミトリー・ジャニシェフスキーが、ロシア原産のルデラリスを3番目の亜種として同定しました。ジャニシェフスキーは、多くの大麻が日照時間の変化で開花するのに対し、ルデラリスは季節に関係なく発芽から僅か20〜40日で自動的に開花することに気づきました。
ルデラリス種は元々THC含有量と収穫量が少ないため、ルデラリス系統は一般的にグロワーからは避けられる傾向にあります。ですが、強力なインディカ種やサティバ種と交配させれば、THC含有量の高い、成長の早いハイブリッドが得られる事から、掛け合わせとしてルデラリスを用いるグロワーも増えている様です。
◆サティバ vs インディカ

大麻愛好家の中にはサティバやインディカなど、大麻の系統に拘る人は多いかと思います。その理由はサティバはヘッドハイ(マインドハイ)、インディカはボディハイの効果があると言われているからです。
しかし大麻の研究が進むにつれ、インディカ種かサティバ種かではなく、大麻に含まれるカンナビノイドとテルペンがその効果に影響を与える事が明らかになってきています。
このため、専門家の中にはインディカとサティバという用語を完全に避けるか、植物の高さ、枝振り、葉の大きさを示す指標としてのみ使用し、その効果を示さないことを提案する学者も多い様です。
また、前述した様に現在サティバやインディカとされている品種も実際は殆ど全てがハイブリッドとも言われており、その区分は非常に曖昧です。さらに、実際は各系統によって感じられる効果は個人によって異なります。
結論としては、サティバ・インディカは生産者や販売者、消費者がカンナビスをより簡単に区別するためのものだと言って良いでしょう。サティバ・インディカはあくまでも参考程度にし、自分に合った品種を見つける事が重要かと思います。
◆まとめ
◉カンナビスはサティバ、インディカ、ハイブリッド、ルデラリスに分けられる
◉それぞれ原産地域が異なり、それが理由で特性も異なる
◉ヘッドハイ、ボディハイはカンナビノイドの量とテルペンの種類によって決まる
◉実際は最近の個体は殆どがハイブリッドである
◉サティバ、インディカに拘るよりも、自分に合った品種を見つけることが重要